栗は栄養のバランスがとれた健康食
栗は栄養のバランスがとれた健康食
栗は、縄文時代から近代に至るまで、大切な食糧や用材として広く利用されてきました。
日本人にとって、栗は深い縁の食材です。
《栗の効能》
栗は健康によい食べ物で知られています。
古来より栗には以下の効能があるとされています。
■ 体を温める
■ 血液の循環をよくする
■ 肌の調子をよくする
■ 腎臓虚弱の改善
■ 胃腸の調子をよくする
さらに、栗の実には食物繊維が豊富に含まれていますので便秘改善する作用があり、
血糖値の上昇を抑え糖尿病を予防する効果もあります。
脂質が少ないことも特徴で、脂肪・カロリーを気にすることなく、バランスよく含まれたビタミン、ミネラル補給することができます。
日本の栗なら6個ほどで、成人の一日のビタミン類の所要量を満たすとされています。
《薬膳として使われる“栗” 》
栗は薬膳料理にも使われる食材の代表です。
栗の効果として、慢性下痢、口内炎、病後の体力不足、高齢者の脚力低下、打ち身、捻挫、鼻血、冷え症などに効果の期待ができるとされています。
〔栗〕
薬膳での効能は
・養胃健脾(胃腸を丈夫にする)
・補腎強筋(腎を補い筋肉や関節を強くする)
・活血止血(血行を良くし鼻血や血便を止める)
などが挙げられます。
栗は、中医学では「腎虚」を改善する食材の一つです。
腎虚の症状とは「尿が近い、または出にくい」「腰が痛い」「足腰に力が入らない」「精力減退」「耳鳴り、めまい」「難聴」「むくみ」「かゆみ」「冷え」「手足のほてり」といった症状などがあります。
これらの改善に栗がいいということです。
栗や松の実・クルミなどのような堅い実は、「腎」を補う食材として老化による腰痛や筋肉の弱りにも良いとされています。
栗の実には、不飽和脂肪酸やビタミン、ミネラル類が豊富で、高血圧や心疾患、動脈硬化、骨粗鬆症などの予防・治療作用が期待されています。
●秋から冬の養生のポイント
~冬令進補、春天打虎~
秋の土用(10月20日~11月6日)を越えると「立冬」となり「冬」となります。
「冬」は、「腎をしっかりと養生しなければならない」とされています。
古来より、「冬令進補、春天打虎」(冬に身体を補えば、春に虎を倒すほどの元気になる)といわれ、
「腎」を補い、精力を蓄積することが大切と考えられてきました。
また、冬は「生気潜伏、陽気内臓」の季節と言われ、
- 養生をする(むやみに活動的にならない)
- エネルギーを貯蓄する
と考えています。
冬は食欲が増進し、脾胃の働きが活発になるので、栄養吸収がよくなります。
これからの季節は養生をしっかり意識して生活しましょう。
《腎の養生》
・腎を養生するには、まず身体を冷やさないこと。
・腎は過労やストレスにも弱いので休息や睡眠をしっかりとりましょう。
・気分転換をはかるなど鬱々した時間を過ごさない工夫も必要です。
・腎を補う食材としては、山芋、豚肉、エビ、うなぎ、スッポン などを食べる
腎は腎臓の腎と同じ漢字を用いますが、これは腎臓という臓器そのものに限りません。
腎は生命エネルギーの源。親から受け継いだ先天的な生命力と、食物から摂取するエネルギーを合わせて腎のエネルギー、すなわち“腎精(じんせい)”として貯蔵し、生殖、成長、発育、ホルモン分泌など、生命活動をコントロールする重要な役割を担っているのが腎です。
腎機能が低下すると、身体の陰陽バランスが崩れ、水分代謝が悪化し、疲れやすく、思考力が低下し、気分が沈む、耳鳴りやめまいなどが起きやすくなります。
また、腰や背中、関節の痛み…と身体の機能に支障をきたしてきます。
これからの季節は、腎を養い精を補う「補腎益精(ほじんえきせい)」が冬の養生の最大のポイントとなりますので意識して過ごしましょう。