薬湯の効果《実母散湯》 痛みや筋肉の痙攣、血行促進、代謝促進の効果
《暮らしの指南書》
●薬湯の効果
暑さも落ち着き、夕方以降は風も冷たくなってきていまね。
冷たい風が吹くころになると、腰痛・ぎっくり腰・寝違え・膝痛・肩痛など
「関節痛」でお困りの方が多くなります。
こんな時は「薬湯風呂」にゆっくり浸かってリラックスすると痛みも楽になります。
「薬湯風呂」は古来、「薬湯(くすりゆ)」とも言われ治療に用いられてきました。
●薬湯『実母散』
現在でも販売されている伝統薬湯に『実母散』というものがあります。
江戸時代中期、江戸・中橋の喜谷市郎右衛門が長崎からやって来た医師を世話したお礼として、
とある妙薬の作り方を教わったものが始まりとされています。
この妙薬は、難産の妊婦を救ったことから『実母散』と命名され、人々に広く知られることとなったそうです。
『実母散』は、もとは煎じて飲む漢方薬でした。
由緒正しい系譜の『実母散』は「喜谷実母散」と「千葉実母散」であると言われています。
現在では「千葉実母散」が入浴剤の『実母散』となったとされています。
『実母散』は日本で唯一の医薬品の入浴剤として販売されています。
●『実母散』に配合されている生薬と解説
当帰(とうき)
川きゅう(せんきゅう)
蒼朮(そうじゅつ)
大黄(だいおう)
黄連(おうれん)
芍薬(しゃくやく)
菖蒲根(しょうぶこん)
木香(もっこう)
香附子(こうぶし)
茯苓(ぶくりょう)
木通(もくつう)
など。
・当帰(とうき):婦人薬の代表的な生薬です。当帰は「婦人病の聖薬」と呼ばれます。
補血・活血作用があり、古来から「血の道症」の万能薬として知られています。
・川きゅう(せんきゅう):活血・鎮痛・鎮静・強壮作用があり、冷え性、生理不順など婦人病の薬方に配合されます。
女性の「血の道症」「ヒステリー」などには当帰と合わせて使われます。
・大黄(だいおう):消炎・止血・緩下作用があり、瀉下剤として便秘薬にも使われます。
・黄連(おうれん):鎮静、抗腫瘍、抗炎症、抗菌作用、血圧降下作用があります。
関節の腫れ・痛みを軽減させます。
・茯苓(ぶくりょう):利尿作用、滋養、鎮静、血糖降下、消化促進
松の根に寄生するキノコで、 健胃、利尿、強心などの作用がある。
胃炎、胃アトニー、消化不良に使われます。
・木通(もくつう):利尿、抗炎症、鎮痛、利関節作用(関節の動きをスムーズにする)
湿疹・蕁麻疹や冷え症、慢性頭痛、神経痛・膀胱炎・排尿痛に使われます。
・芍薬(しゃくやく): 鎮痛・鎮痙、筋緊張緩和作用(急性の腰痛・腹痛に使われます)
筋肉の痙攣を緩和させる芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)で知られます。
・木香(もっこう):健胃、鎮痛、利尿、抗菌 作用
胃腸薬として嘔吐、腹痛、下痢、消化不良に使われます。
インドでは気管支拡張作用や去痰作用があるとして、喘息に用いています。
・蒼朮(そうじゅつ):健胃、利尿、発汗、抗炎症、鎮痛
胃もたれ、消化不良や食欲不振の時に用いられる「平胃散」に使われています。
・菖蒲根(しょうぶこん):鎮静、鎮痛、鎮徑(ちんけい)、鎮咳、去痰、血圧降下作用
血行促進、疲労回復作用にすぐれており、神経症、胃痛、関節痛、打撲傷などに用いる
また、意識障害、健忘症にも使われることがあります。
『実母散』は服薬としては、
更年期障害、冷え性、腰痛、頭痛、のぼせ、肩こり、めまい、動悸、便秘、むくみなど
使われる病症は多くあります。
『実母散』を入浴剤として使用した場合は、
さら湯よりも温熱効果がぐんと高まり、低体温症や冷え性の人にいい効果を及ぼすと期待されます。
生薬の作用から、痛みや筋肉の痙攣、血行促進、代謝促進の効果があり、
薬湯として古来より使われてきました。
●『実母散』の購入
「実母散」の購入は近くの漢方薬店もしくはインターネットから購入できます。
服薬に関しては、薬剤師及び医師へご相談ください。
漢方薬湯専門店 薬湯堂
https://www.rakuten.ne.jp/gold/bathharmony/
喜谷實母散|家庭薬ロングセラー物語|日本家庭薬協会
http://www.hmaj.com/kateiyaku/jitubosan/