西宮市 はりきゅう和み座 『東洋医学で観る“鬼滅の刃”』肆ー④
『東洋医学で観る“鬼滅の刃” 肆』2面-②
四字熟語に学ぶ心と身体の調和
“明鏡止水”と“虚心坦懐”
那田蜘蛛山(なたぐもやま)の鬼狩りの後、
蝶屋敷で、三人が機能回復訓練を行います。
その時のモデルになっているといわれる道場が、
愛知県犬山市の博物館明治村内にある
「第四高等学校武術道場:「無声堂」といわれています。
「無声堂」は大正6年金沢の第四高等学校に建てられたもので、
柔道、剣道、弓道三つの道場を兼ね備えた大きな洋風建築物です。
アニメではこの道場で鍛錬をする三人ですが、
道場の中央に大きな扁額(扁額)があります。
扁額は、「明鏡止水」(めいきょうしすい)と書かれたものと、
「風春彩雲」と書かれています。
この「明鏡止水」という言葉は私も好きな言葉で、
アニメを観ていてすぐ目に止まりました。
「明鏡止水」とは、
邪念がなく、澄み切って落ち着いた心の形容。
「明鏡」とは、
一点の曇りもない鏡のこと。
「止水」は、
止まって、静かにたたえている水のこと。
とあります。いい言葉ですね。
出典は『荘子』徳充符篇(トクジュウフヘン)にあります。
「徳充符篇」とは
「徳が内面に充ちあふれた符」と書くように、
「重要なのは人間の中身であり、外見などは問題ではない。」
ということが書かれています。
水にしろ、鏡にしろ、本来は綺麗なんです。
流れで掻き回されたり、塵で曇ったりして、
鏡のように映し出せなくなるなるのです。
人の心も、本来は綺麗なんです。
しかし周囲の外乱に惑わされ、
自分の変なこだわりで物を見るために、
本来綺麗な心が汚れ、真実が見えなくなってしまうんじゃないでしょうか。
辞書での「明鏡止水」の意味
《なんのわだかまりもなく、澄みきって静かな心の状態をいう》
いつもそうあれるように心を磨きつづけなければなりませんね。
「明鏡止水」と同義語に「虚心坦懐」(きょしんたんかい)という言葉があります。
意味は『心になんのわだかまりもなく、気持ちがさっぱりしていること。
心にわだかまりがなく、平静に事に望むこと。また、そうしたさま。
「虚心」は、心に先入観やわだかまりがなく、
ありのままを素直に受け入れることのできる心の状態。
「坦懐」は、わだかまりがなく、さっぱりとした心。平静な心境。
という意味です。
前号にも書きました、東洋医学での「恬淡虚無」も同義です。
『恬淡虚無 真気従之 精神内守 病安従来』 【上古天真論篇】
「心静かに、無闇やたらと欲望を起さなければ、
真気(生命エネルギー)は全身にめぐり、
精神(自律神経、免疫力)が体内を保護し、病気になろうはずがない。」